「カップラーメンでこんなに幸せになれるんだったら、永遠にずっとめちゃくちゃ幸せでいられる」
映画SUPERHAPPY FOREVER
12/1に新宿武蔵野館で鑑賞してきた.この映画を観終わって,ああなんて皮肉なタイトルなんだろうな,と思った.それと同時に,永遠に続く幸せってないよね,とも.
この映画のあらすじは,妻である凪に先立たれた佐野が幼なじみの宮田と共に,5年前に凪と出会い恋に落ちたリゾート地を訪れ,思い出の地をたどっていく物語.そしてそのとき凪が無くした帽子をめるぐ物語でもある.
三部作の構成になっていて,佐野が妻の凪を亡くした2023年8月19日,佐野と凪が出会った2018年8月18日,2023年8月19日以降の3つ.それぞれにおける主演は,佐野,凪,佐野と凪の泊まったホテルで働くアン.そして,その3つの物語で共通して登場するのが赤い帽子だ.
佐野が凪と出会ったとき,凪の誕生日プレゼントとして渡した赤い帽子.凪はそれをその次の日に無くしてしまい,凪がアンに「もし見つけたらとっておいて,よかったらかぶってもいいよ」と伝える.一方の佐野は,その赤い帽子をどうしても見つけ出したくて町中を探し回る.
佐野の帽子に対する執着にはとても共感できた.寂しい気持ち,喪失感,それを埋めるために物質的な証拠を探し求める.結局その帽子を見つけ出すことはできなかったけど,たとえ見つけ出せていたとしてもその喪失感を埋めることはできない.凪はもういないから.
この映画の続きを考える,佐野は大丈夫かな,ちゃんと生きてるかな,宮田と仲直りしたのかな,アンはベトナムへ帰って元気にしてるのかな,赤い帽子は...赤い帽子はアンに拾われて凪の伝言どおりちゃんと凪の帰りを待っている.
この映画のタイトルはあまりに皮肉だけど,じゃあ僕にとってSUPERHAPPY FOREVERってなんだろうって考えた.
「カップラーメンでこんなに幸せになれるんだったら、永遠にずっとめちゃくちゃ幸せでいられる」
というセリフのとおり幸せは小さくて一瞬で過ぎ去ってしまう.とても脆くそして儚い.普段の生活の中でいかに僕らが幸せを当たり前のように享受していて,そしてどれだけそれが壊れやすいものか,そしてどう頑張っても受け入れられない現実が存在することを改めて実感しだ.なので,日々の小さな喜びを意識して,ちゃんと生きていこうと思った.
映画を観ていてスピッツの歌詞がいくつか思い浮かんだのでメモしておく.
瞬く間の悦びさえ
今は言える永遠だと
・
・
・
二人だけの小さい笑いすら
今は言える永遠だと
スピッツ「讃歌」
小さな幸せつなぎあわせよう
浅いプールで戯れるような
スピッツ「正夢」
遠くに旅立った君の証拠も徐々にぼやけ始めて
目を閉じてゼロから百までやり直す
スピッツ「みなと」
同じセリフ同じとき
思わず口にするような
ありふれたこの魔法で
つくりあげたよ
スピッツ「ロビンソン」
最後まで読んでいただきありがとうございます.
コメント