スピッツの楽曲の中にはたくさんの名曲が埋れている.今日は秋に聴きたいスピッツを全て掘り起こして紹介したい.
ランキング形式ではないから,気に入った曲を片っ端からお気に入りに追加して,自分だけのプレイリストを作って欲しい.
スピッツ秋の歌|秋に聴きたいスピッツまとめ
死神の岬へ
1st.アルバムに収録されている少し怖い内容だけど,二人だけの小さな世界がぎゅっと詰まっていてどこか暖かい曲.
次の歌詞の部分だけを切り取ると,何か取り返しのつかないことをしてしまって,二人で一晩悩んで,それでも答えが見つからなくてってそんな情景が浮かんでくる.
二人で積み上げて 二人で壊したら
朝日に溶かされて 蒼白い素顔があらわれた(死神の岬へ,作詞:草野マサムネ,作曲:三輪徹也)
秋らしいなと思うのは次の歌詞から.
そこで二人は見た
風に揺れる稲穂を見た
朽ち果てた廃屋を見た
いくつもの抜け道を見た(死神の岬へ,作詞:草野マサムネ,作曲:三輪徹也)
風に揺れる稲穂を見てどんな気分だったんだろう?どんな気持ちで岬へ向かっていたんだろう?聴くたびにいつも二人の主人公の気持ちを考えてしまう.
そして最後の歌詞に込められた意味を考えると,きっと二人で解決できそうな兆しを見つけられたのかなと思う.
いくつもの抜け道を見た
(死神の岬へ,作詞:草野マサムネ,作曲:三輪徹也)
ちょっと怖いけど,歌詞の世界に一歩踏み込むとシリアスだけど暖かい気分にさせてくれる.ぜひじっくり聴いてみてほしい.
トンビ飛べなかった
秋の夜長に聴きたい失恋の曲.夏の終わりに失恋してしまったらぜひ聴いてほしい.
トンビとかコオロギとか生き物がたくさん登場するあたり草野さんらしくていいなと思う.
トンビ飛べなかった ペンは捨てなかった
怠惰な命 紙くずの部屋にいた
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コオロギ鳴いてる 靴の中
宇宙のスイカが割れるまで待ってた(トンビ飛べなかった,作詞作曲:草野マサムネ)
明るくて元気のいい曲だからあまり失恋っぽくないけど,歌詞は失恋そのもの.いろいろな想像を膨らませてくれるその歌詞はぜひ読み込んでほしい.
・枕の下に隠れてる君を探してた
・つぶされかかってわかった 優しい声もアザだらけ
・正義のしるし踏んづける もういらないや
・宇宙のスイカが割れるまで待ってた(トンビ飛べなかった,作詞作曲:草野マサムネ)
鈴虫を飼う
こちらも失恋の曲,タイトルの鈴虫を飼うというのは失恋して一人になってしまったことを表している.鈴虫は秋の季語ということで秋の歌.
鈴虫の夜 ゆめうつつの部屋
鈴虫の夜 一人きりゆめうつつの部屋
(鈴虫を飼う,作詞作曲:草野マサムネ)
この曲ですごくいいなと思うのは次の歌詞.
油で黒ずんだ 舗道に へばりついたガムのように
慣らされていく日々にだらしなく笑う俺もいる(鈴虫を飼う,作詞作曲:草野マサムネ)
薄くすり減っていって,いつかなくなってしまう存在.そして捨てられたガムという卑屈っぽい表現は,振られてしまってもうどうでもいいやーと思う気持ちを表しているよう.
ハニーハニー
秋といえば十五夜,十五夜といえば月,月といえばうさぎ,ウサギといえばハニーバニー,という訳でピックアップ,半分冗談です.
月明かりのもとで恋人と一緒に散歩しながら聴きたくなるラブソング.
ハニーハニー 月灯かり浴びて踊ろうよ
罪の花をばらまきながら(ハニーハニー,作詞作曲:草野マサムネ)
とても魅力的な歌詞なので歌詞もぜひチェックしてほしい.特に次の歌詞.
ハニーハニー It’s so brilliant!! ハニーハニー 僕らに
ハニーハニー It’s so brilliant!! ハニーハニー 天国が
落ちてくる日まで(ハニーハニー,作詞作曲:草野マサムネ)
天国が落ちてくる日ってどんな日だろう?きっと多幸感に溢れる,そんな日なんだろうな〜と思う.
アパート
秋の少し肌寒い朝に聴きたい失恋の曲.秋らしい季語は一つも出てこないけど,それでも夏が終わり冬に向けて少しずつ寂しくなっていく,そんな秋に聴きたくなる.
秋になると1年の終わりを意識し始める.「ああ,今年もあと3ヶ月くらいしか残ってないな..」.だから秋にこの曲を聴くと,特に次の歌詞がぐさっと刺さる.
いつも わがまま 無い物ねだり わけも解らず 青の時は流れて
(アパート,作詞作曲:草野マサムネ)
「あの時は楽しかったな」
時が経ってふと過去を振り返ったときにそう思える時間のことを人は青春と呼ぶのかも.とこの曲を聴く度に思う.
ローランダー、空へ
隠れた名曲,ローランダー,空へ.この曲も秋の季語は出てこない.だけど,先のアパートと同じく時の流れを意識させてくれる歌詞が秋の気分にぴったりなのだ.
このまま静かに羊の目をして終わりを待つコメディ
疑うことなど知らずに 何かに追われて時はゆく(ローランダー、空へ,作詞作曲:草野マサムネ)
ちなみにローランダーとは低地に住む人のことを言う,つまりローランドはRolandではなくLow land.そして歌詞の中に幾度と登場する棕櫚はヤシの木を意味する.そのため歌詞は高低差のイメージがとても強くて,特に落ち込んでいるときに聴くと励ましてくれる.
そして,僕が歌詞の中で一番好きなフレーズはこちら.
白い翼と 白いパナマ帽 渚の風を身体にまとう夢を見たのさ
(ローランダー、空へ,作詞作曲:草野マサムネ)
とても幻想的でドラマチックじゃないですか?この歌詞の先にあるイメージは聴く人それぞれの経験に基づくとおもうけど,それでも多くの人は僕と同じような印象を持つと思う.
秋の夜長にじっくり聴いてほしい.
夢じゃない
秋に聴きたいラブソング.秋らしいサウンドだから秋のゆっくり流れる時間の中で聴きたくなる.
歌詞はストレートなラブソングだから,休日の午後とかに恋人と一緒に聴くのもいい.
とはいえラブソングなんだけど綺麗なラブソングじゃないあたりが草野さんらしくていいなと思う.
いびつな力で 守りたい どこまでも Oh…
(夢じゃない,作詞作曲:草野マサムネ)
スパイダー
秋の夜風を浴びながら聴きたいラブソング.千の夜という表現は伊勢物語のよう.とても秋らしくドラマチックだなと思う.
だからもっと遠くまで 君を奪って逃げる
ラララ 千の夜を飛び越えて走り続ける(スパイダー,作詞作曲:草野マサムネ)
秋の夜の千夜を一夜になずらへて八千夜し寝ばやあく時のあらむ
(伊勢物語)
ラブソングなんだけど,ストレートに「ずっといっしょにいよう」とわかりやすく表現しないところがカッコいいなと思う.
Y
またまた夜に聴きたいラブソング.夜の静寂の中に風に揺れる麦穂のざわめきが聞こえてきそうな歌詞.とても秋らしいなと思う.
小さな声で僕を呼ぶ闇へと手を伸ばす静かで長い夜
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やがて君は鳥になる ボロボロの約束胸に抱いて
風に揺れる麦 優しい日の思い出 かみしめながら(Y,作詞作曲:草野マサムネ)
タイトルのYはY字路を表しているとどこかの記事で読んだことがある.本当かどうかはわからないけど,一つが二つになるのか,はたまた二つが一つになるのか.聴く人それぞれで解釈は変わってくるはず.歌詞の世界にあなたの気持ちを描写しながら聴いてほしいなと思う.
ほうき星
少しサイケデリック,というかそもそもインディゴ地平線というアルバムがそういった音の仕上がりになっている,個人的にはとても好きなサウンド.
秋の星空を眺めながら聴きたい1曲.歌詞にも秋空という言葉が使われている.
錆びついた扉が はじめて開くよ
僕らは ほうき星 汚れた秋空(ほうき星,作詞:田村明浩,作曲:草野マサムネ)
単語それぞれが飛躍していてサウンドだけじゃなく歌詞までもサイケデリックで色鮮やかなのは面白い.彗星という単語は夜空に一瞬現れる流れ星のようで,それを見たときの一瞬の気持ちの昂揚感が描かれている.
今 彗星 はかない闇の心に そっと火をつける
弾丸 桃缶 みんな抱えて 宙を駆け下りる(ほうき星,作詞:田村明浩,作曲:草野マサムネ)
楓
説明いりませんよね,きっと.
楓というタイトルから秋らしい曲というのはわかる.だけど歌詞には楓という単語は出てこない.それでも秋らしいなと感じるのは次の歌詞.
ガラスの向こうには 水玉の雲が
散らかっていた あの日まで(楓,作詞作曲:草野マサムネ)
きっと水玉の雲はうろこ雲だったりひつじ雲だったり,そういった秋の雲を連想するんじゃないだろうか.
ガラス越しに秋雲を眺めて,何を感じていたんだろう?この歌詞の次に続くようにただただ幸せを感じていたのかな?僕はそう思う.
風が吹いて飛ばされそうな軽いタマシイで
他人と同じような幸せを信じていたのに(楓,作詞作曲:草野マサムネ)
曲もすごくいいんだけど歌詞の世界が深すぎてちょっとした小説を読んでいるような,そんな感覚にさせてくれる曲,名曲だよね.
さらばユニヴァース
アルバム「ハヤブサ」には秋らしい,というか秋の夜に聴きたい曲が多い.とはいえあからさまに秋を歌うのではなく,どこか秋らしい雰囲気を感じさせてくれる曲が多い.このさらばユニヴァースもその一つ.
さらばユニヴァースのモチーフはロビンソンと似ていてとてもいいなと思う.そのモチーフについてロビンソンが表を表現しているなら,このさらばユニヴァースはその裏側を表現している.
どちらもラブソングという点では一致しているし,以心伝心のような表現や宇宙につながる展開など,似ている点は多くある.
以心伝心のような表現.
会えそうで会えなくて 泣いたりした後で 声が届いちゃったりして
引き合ってる 絶対そう 君はどう思ってる?(さらばユニヴァース,作詞作曲:草野マサムネ)
同じセリフ 同じ時 思わず口にするような
ありふれたこの魔法で つくり上げたよ(ロビンソン ,作詞作曲:草野マサムネ)
宇宙へつながるような感覚.
それは謎の指輪 さらばシャレたユニヴァース
君が望むような デコボコの宇宙へつなぐ(さらばユニヴァース,作詞作曲:草野マサムネ)
ルララ 宇宙の風に乗る
(ロビンソン ,作詞作曲:草野マサムネ)
描く世界は似ていても,それの表現方法で印象が大きく変わるのは面白い.
甘い手
こちらも秋らしい雰囲気の曲,秋の季語は一つも出てこない.とはいえAメロの次の歌詞は十五夜にお月見をしながら聴きたくなるような,そんな気分にさせてくれる.
遠くから君を見ていた
いつもより明るい夜だった(甘い手,作詞作曲:草野マサムネ)
しっとりと夜を描く1曲なので,ぜひ秋の夜長に聴いてほしい.
ハートが帰らない
春という単語が登場するので,春の歌かな?と思うけど僕は秋の歌として聴いている.理由は霧という単語は秋の季語だから.
優しい人よ 霧が晴れたら二人でジュースでも
(ハートが帰らない,作詞作曲:草野マサムネ)
タイトルのハートが帰らないというのは誰かに心奪われた様子を表している.想いをよせる人や振られてしまって未練の残る人がいる人に,霧かかる朝にまどろみながら聴いてほしいと思う.
ホタル
タイトルのホタルから連想するのは夏かもしれないけど,僕は秋のホタルとして聴いている.秋の蛍はどこか弱々しくて季節外れの侘しさを感じさせてくれる.
闇の途中で やっと気づいた
すぐに消えそうで 悲しいほどささやかな光(ホタル,作詞作曲:草野マサムネ)
その侘しさをより儚く感じさせてくるのはサビの最後の次の歌詞.
忘れたくない 鮮やかで短い幻
(ホタル,作詞作曲:草野マサムネ)
ローテク・ロマンティカ
秋の休日にお昼まで寝たあとに聴きたくなる1曲.秋の季語としてコスモスが使われている.抜けのいいドラムの音とリズムが心地いい.
コスモス揺れていた 俺だけに笑って
(ローテク・ロマンティカ,作詞作曲:草野マサムネ)
新月
新月とは月の満ち欠けの一番初めの月を言う.つまり太陽と月が重なりあって空に月が見えない.それは歌詞にもはっきりと表現されている.
正気の世界が来る 月も消えた夜
(新月,作詞作曲:草野マサムネ)
日本では4月に多くのことが始まり10月に折り返しを迎える.新しい年度の折り返し地点だから物事をやり直したり,新しく始めたり,そういった一つの節目にもなる.そうやって再スタートを切るタイミングで聴きたくなる.
聞かせてよ
サウンドがとても秋らしいので紹介したい.しっとりした曲なので秋の気分にしっくりくる.秋に小さな恋を始めた人にぜひ聴いてほしいラブソングだ.
偶然の世界 どう動いたらいいんだろう?
(聞かせてよ,作詞作曲:草野マサムネ)
人生というか世の中が偶然の連続であることを悟らせてくれるこのフレーズはとてもいい.
未来コオロギ
タイトルのコオロギから秋の歌として紹介したい.未来コオロギって一体何?そんな疑問を抱えながら聴いているけど,いまだに答えは見つかっていない.
東日本大震災を経て書かれた曲,そしてアルバムの1曲目に収録されている曲だからとても強いメッセージを感じるのは僕だけじゃないはず.聴くタイミングによってはAメロだけで涙が出てくる.
描いてた パラレルな国へ
白い河を 飛び越えていきなりで 驚かせたかも
チョコレートは いかがでしょう(未来コオロギ,作詞作曲:草野マサムネ)
歌詞のひとつひとつがとても暖かく励ましてくれるので,ぜひ聴いてほしい.
流れ星
ゆっくり流れる時間に佇みながら聴きたい1曲.流れ星は秋の季語として使われることも多い.流れ星を見る機会なんてそうそうないけれど,それでも突然訪れるその瞬間は誰だって嬉しい気分にさせてくれる.
誰かを憎んでたことも 何かに怯えたことも
全部かすんじゃうくらいの 静かな夜に浮かんでいたい(流れ星,作詞作曲:草野マサムネ)
コスモス
タイトルと歌詞の内容,さらにサウンドまで全てが秋をモチーフにしている失恋の曲.秋に一番しっくりくるスピッツの曲かもしれない.
ささやく光 浴びて立つ 君を見た秋の日
さびしげな真昼の月と西風に 揺れて咲くコスモス
二度と帰れない(コスモス,作詞作曲:草野マサムネ)
稲穂
タイトルからそのまま秋の曲.テンポよく稲穂実る田園の中をドライブしたくなる.
美しく実る稲穂に 愛を知る 夢も終わる頃
駆け出した 風に逆らい 夕焼けが 僕らを染めていた(稲穂,作詞作曲:草野マサムネ)
リコリス
リコリスは秋の花.欧州ではお菓子として楽しまれているらしい.なので歌詞でもリコリスは花ではなく食べ物の味として描かれている.
おもしろく哀しい 旅人の話 めくる頁の先に
いきなり現れ 外した口笛 その笑顔はリコリス味(リコリス,作詞作曲:草野マサムネ)
とはいっても僕はリコリスのお菓子を食べたことがないし,多くの人もそうだと思うのでこの歌詞で描かれているリコリス味の笑顔って?となる人も多いはず.
日本でもリコリス味のお菓子をゲットできるみたいなので,気になる方はぜひご賞味くださいな.
最後に|秋に聴きたいスピッツまとめ
秋に聴きたいスピッツの楽曲を自分なりの視点でまとめてみた.秋をテーマやモチーフにした曲もあれば,雰囲気がそれらしい曲もある.もちろんそれぞれの曲の印象は人それぞれだから,今回紹介した楽曲はあくまでも参考としてほしい.
そして,秋といえば夕焼けを連想する人も多いと思う.なのでそれは夕焼けを歌うスピッツにまとめた.よかったら読んでね.
以上,最後まで読んでいただきありがとうございます!