奥山さんのベンチ愛を描く作品だった.ベンチで過ごす時間ってそんなに多くないじゃないですか.それでもベンチに誰かと一緒に座ればちょっとした会話が生まれるわけで,そうするとそこからドラマが始まる.そんなドラマ5つで構成されているオムニバス映画.
脚本は生方美久,蓮見翔,根本宗子,奥山由之の4名.それぞれ異なるストーリーになっていて,ベンチひとつを中心に描かれるドラマだけど観ていて飽きない.
奥山さんが脚本を書いた第4編で「また100年後に会おう」みたいな会話があって,そもそもこの映画を作るきっかけにもなった変わっていくことへのうらさみしさみたいな気持ちがたくさん散りばめられていた.
映画を観た翌日,家から近いということもあって例のベンチまで自転車で行ってみた.そうしたら,やっぱりというか,3組くらい来ていて,ベンチに座って写真を撮ったりちょっと距離を置いてベンチを眺めたり,ベンチがとても人気者になっていて,それはとてもいいことだなと思った.
映画の中でもあったけど,あの辺りには本当にベンチが少なくて,奥山さんも言われているとおり川沿いに突然現れて,それでも歩道のそばにあるわけでもなく水辺に近いわけでもなく気にしなければ何年も存在に気づかないような場所にポツッとまるで誰かを待つようにじっと静かに優しく佇んでいる.
これまでまったく意識したことはなかったけどもしかしたらベンチは特別な場所かもしれない.家でもカフェでもできないような会話はベンチならできる.これからはベンチを見かけたら積極的に座りにいこうと思う.
出典:https://spoon-inc.co.jp/at-the-bench/
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