最近の台風ってなんだか巨大じゃない?これってもしかして地球温暖化の影響?
最近の台風はなんだか巨大なものが多い.そもそも台風ってなんで大きくなるんだっけ?そんな疑問を持つ人も多いと思う.僕もそんな一人だから調べてみた.
今日の記事は僕と同じように台風が巨大化するメカニズムを知りたい,という人に読んでもらえたら嬉しい.
今日の内容.
・台風と地球温暖化の関係
・台風のメカニズム
・将来の台風の傾向
・台風の被害を極力小さくする方法
目次
台風と地球温暖化は関係あり
出典: NASA
メカニズムや因果関係はまだまだ謎が多いけど,台風と地球温暖化は関係していると考えられている.さらに地球温暖化では台風は巨大化する一方,発生頻度は減ると言われている.
今日はこのあたりについて調べてみたので紹介したい.
ちなみに地球温暖化については地球温暖化と二酸化炭素の関係にてまとめている.
台風をつくる要因5つ
台風の要因は主に5つと言われている.
1: 26℃以上の海面温度
2: コリオリ力と下層部での低気圧性の風
3: 対流層中央部の湿った空気の存在
4: 不安定な対流流れ
5: 横方向からの均一な風
一つ注意したいのは,台風のメカニズムはまだ完全に解明されていない,ということ.だから,経験,実験,計算に基づく根拠はあるものの「これが主要因だ」と断定できるものはない.主要因はその時々の条件によって変化してくる.
台風のできるメカニズム
台風の発生するメカニズムを簡単にみていこう.
台風は赤道から北緯10〜20度付近の熱帯収束帯と呼ばれるエリアで発生する.ここは北東貿易風と南西季節風のぶつかり合うエリア.
このエリアでは海水からできた水蒸気によってたくさんの積乱雲が発生する.
その積乱雲はたくさん集まるとクラウドクラスターと呼ばれる集合体となる.
そして積乱雲はコリオリ力によって北半球であれば反時計回りに回転させられる.
台風はこのように生まれていく.
ちなみにコリオリ力についてはこちらの記事で解説している.
ポイントは,水蒸気は台風の原材料であり燃料であるということ.この水蒸気は地球温暖化で台風が巨大化するキーワード.
地球温暖化で台風が巨大化するメカニズム
次に地球温暖化で台風が巨大化するメカニズムについて.
先ほど台風の原材料は水蒸気と説明した.水蒸気は海水が暖められて生まれるから熱エネルギーを持っている.
その水蒸気は空気より軽いのでより上空へ移動する.上空は気温が低いので,水蒸気はそこで冷やされ再び水となる.そのとき,水蒸気に含まれている熱エネルギーも大気中に放出されウォームコアと呼ばれる暖かい空気の塊ができる.
ここでもポイントとなるのは水蒸気.水蒸気は海水面の温度が高いほど多くなる.つまり,それだけ台風の燃料が増える.そのため台風は巨大化していくと言えるかもしれない.
もう少し深掘りしてみよう.
温められた空気は膨張するので地上での気圧が同じでも暖かい方が空気の体積は大きくなる.
しかし,ある高度Aでの気圧を比較すると暖かい空気の方が高い.なぜならその高度より上側に含まれる空気の量が多いから.空気は気圧の高いところから低いところへ移動するから,高度が高くなればなるほど暖かい空気は冷たい方へ移動する.
そのとき地上での気圧を見てみると,上空で空気が移動しているから暖かい方が冷たい方より気圧が低くなる.そうなると地上では冷たい方から暖かい方へ空気が移動し,上空では暖かい方から冷たい方へ空気が移動するようになる.こうして海面から上空に向かう風が生まれ,それによって水蒸気が上空へ送り込まれる.
上空に運ばれる水蒸気が増えれば運ばれる熱エネルギーも増える.そうすると上空はより暖められ上空へ運ばれる水蒸気もより増える.
このように海面の温度が高ければ高いほど上空に送り込まれる水蒸気と熱エネルギーの量が増えるので,地球温暖化によって台風が巨大化する可能性がある.
地球温暖化で台風の数が減るメカニズム
意外かもしれないけれど地球温暖化で台風の数は減ると言われている.先ほども話たけど,水蒸気は上空へ移動しそこで冷やされて水となる.そのときに熱エネルギーも一緒に放出され上空に暖かい空気の塊ができる.
このとき,もし周りの空気の温度がその上空へ送られた暖かい空気の塊の温度と差がなければ,上空で空気は移動しづらいので低気圧になりづらい.
こうなれば,上空は温められるが下からの上昇気流は発生しづらくなる.
なぜ周囲との温度差は生まれづらくなるのか?
本来,水蒸気から放出された熱エネルギーは宇宙へ向かう.
しかし,地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素はその熱エネルギーを吸収する.
つまり,熱エネルギーを閉じ込めて上空の周りの空気を暖めてしまう.それによって気温差が生まれづらく大気は安定する.上空の大気が安定するので台風が発生しづらくなる.
2018年と過去の海水面温の比較
台風を巨大化する一つの要因と考えられている海水面温度を確認してみよう.
9月における太平洋の海水面温度を2018年と過去とで比較した.
1988年
1998年
2008年
2018年
出典: 気象庁
この比較の通り,2018年は30°Cを示す紫色のエリアが過去最大となっている.つまり,高い海水温によって積乱雲が発生しやすくなっている.
海水面温度が上昇したからといって必ず台風が増えたり巨大化したりするわけではないけど,そうなりやすい環境にあることはわかる.史上最大級の台風が発生するリスクはどんどん高くなっているかもしれない.
21世紀末における台風予測
将来の台風予測について様々な研究が行われている.少し前のデータになるけど気象庁の発表する「異常気象レポート 2005 概要版」にも簡単にその予測が掲載されている.
この最新の予測実験では、21 世紀末頃の世界全体の熱帯低気圧の発生数は、現在と比べて、30% 程度減少するとの結果が得られている。また、21 世紀末頃の熱帯低気圧の強度(最大風速)や熱帯低気圧にともなう降水は、現在と比べて、増加する傾向があると予測されている。
ここでは将来の台風発生頻度は減るものの,一度発生した台風は巨大化しやすいことが示されている.
台風の被害を小さくする方法
台風の直接的な被害を最小限に止めるにはハザードマップを利用して住む場所を選ぶのが最善と考えられる.僕自身,今住んでいるところは台風などによる洪水被害のリスクがとても低い場所を選んだ.駅からすこし遠いけど,いざというときのリスクには代えられない.
ハザードマップは各自治体のホームページで簡単に確認することができる.例えば東京都のハザードマップはこのページから確認できる.
もし近々引っ越しを検討していればぜひ参考にしてみてほしい.少しでもリスクを下げて安心して暮らそう.
まとめ
台風発生のメカニズムと地球温暖化による台風への影響を簡単に紹介した.
ポイントとしては2つ.
・地球温暖化で台風は巨大化して発生数は減る
・台風被害を避けるためにハザードマップを利用しよう
地球温暖化がトリガーとなり将来の台風はより巨大化するかもしれない.少しでもその傾向を抑えるためにエネルギーの利用を低く抑えた生活を心がけたい.
以上,最後まで読んでいただきありがとうございます!
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